spoon. 159号
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spoon. 159号

  • 本体価格 ¥907
  • 発売日 2024.04.26
  • コード 05475-06
表紙巻頭特集
“ディスカバージャパン&台湾”のWロードムービー『青春18× 2 君へと続く道』 シュー・グァンハン×清原果耶表紙巻頭撮りおろし対談
“ディスカバージャパン&台湾”のWロードムービー『青春18× 2 君へと続く道』 シュー・グァンハン×清原果耶表紙巻頭撮りおろし対談

以下リードより

台湾中部の嘉義県を舞台にした台湾映画『1秒先の彼女』の舞台を京都に置き換えたリメイク 版の『1秒先の彼』での好演がとても印象的だった清原果耶が、満を持して日台合作の映画に出演!!という予備知識で鑑賞した本作『青春18×2 君へと続く道』。素晴らしい出来だったので今回はW主演の台湾の人気俳優シュー・グァンハンさんと清原さんのツーショット撮りおろし表紙巻頭対談という形で大特集します! 清原さんご本人に訊くと『1秒先の彼女』の次作が本作だったのは全くの偶然だったそうですが、好演した作品が次作にこれほど濃密につながっているのも彼女が今俳優として大きな果実を掴みつつあることを如実に伝えています。映画は大きく、前半部の台南にやってきたバックパッカーのアミ(清原 果耶)とバイト先のカラオケ店で出会ったジミー(シュー・グァンハン)の18歳の夏編と、36歳に なったジミーが来日し18年前に受け取ったアミの絵葉書にあった住所を訪ねる36歳の冬編に分かれていて、W主演の二人がそれぞれ、演者にとってはアウェイな土地であえてメインのエピソードが 展開されるため、監督は日本人なのにまるで“外国映画”を観ているような気分になれます。アミによる台湾紀行、ジミーに夜日本紀行のそれぞれが各駅停車の列車のようなゆっくりとしたペースで丁寧に描かれるので、2本のロードムービーを同時に観られて、観客の心もいつしか自分の過去を当時用人物たちに自然と投射できるのです(映画には、道枝駿佑が演じる今まさに人生の冒険の旅が始まったばかりの幸次や、ジョゼフ・チャンが演じる人生の旅路の果てに異国の日本で居酒屋の店主になったリュウなど、主人公の二人以外にも様々な旅人が現れては、消えて行く。この各駅停車の出合いと別れ感がとてもいい!)。期せずして、大きな被害が出た花蓮地震の後の公開になりますが、日本ではとある事情から気持ちが上がらなったアミがジミーを始めとする台南の人々の“無償の善意”に触れて、キラキラとした顔をする前半パートは、撮影は昨年なのに映画内の時代設定になっている現在から18年前とほぼ変わらないと思われる台南の野放図な風景がとても魅力的で、近年の効率と資本の多寡を優先して行った結果、全てが均質化してしまった日本のターミナル駅にはない、“非効率が許される優しさ”が満ちています。そう言えば、ジミーの日本への旅も18年前にアミからもらった絵葉書の住所を頼りに安い青春18きっぷで日本を北上して行く超アナログな旅でした! ジミーとアミの旅路が重なったときに流れるMr. Childrenのこの映画のための書き下ろした「記憶の旅人」までワンカットも無駄なシーンがない、珠玉のWロードムービー『青春18×2 君へと続く道』。鑑賞前の予習テキストとしてぜひ次ページ以降の対談を熟読してください!

以下見出しより

清原「シューさんとご一緒した台南での撮影では、ジミーとアミが映画デートしたり、楽しげなシーンが多かったので、私自身もアミの気持ちに寄り添いながら、素直に撮影を楽しめていたのかなと思います。その分、福島でのシーンとの落差がすごいので、そこも映画の見どころかなと思います。撮影順番的には、アミが台湾で旅している駅のシーンを最初に撮って、その後、台北、台南、高雄を回って撮ったんですけど、アミを演じているうちにいつか私もアミみたいに海外への一人旅にチャレンジしてみたいなと思うようになりました」

シュー「最初は台湾で俳優として活動している、本作のエグゼクティブ・プロデューサーのチャン・チェンさんからオファーをいただきました。チャン・チェンさんから聞いたお話では、年間構想を練ってきた初プロデュース作品ということで、すごく特別な作品なんだと感じ、ぜひその現場を見てみたい、参加したいと思いました。(『青春 ×2 君へと続く道』の)藤井道人監督に関しても、以前から監督の作品を観ていました。アクションもあり、大変美しいラブストーリーもありと、ジャンルは多岐にわたってい たのですが、どの作品もディテールがきちんと描かれていて、とても才能がある方だと思いました。日台合作というのは僕にとっても初めての経験だったのですが、違う言語を話す役柄を演じることも一つのチャレンジになると感じたので、ぜひやってみたいと思いました」