spoon. 157号
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spoon. 157号

  • 本体価格 ¥907
  • 発売日 2023.12.27
  • コード 05475-02
表紙巻頭特集
NEW YEAR’S MODEL 松村北斗×上白石萌音『夜明けのすべて』
FRONTLINE 渡辺翔太『先生さようなら』12P
田邑先生が弥生の手の甲にペンで書き込みをするシーン、高校時代の田邑拓郎くんが教室で物憂げな表情を浮かべるシーンと場面写真を大判で掲載!
スケッチブック+ペンで素描する過程をメガネオンオフの撮り下ろしカットは9カット掲載!

以下見出しより

「先生と言いたくなるメンバーは阿部亮平くんです。彼はメンバーでの打ち合わせのときも、意見が出たものを後でパソコンなどを使って本人が資料にして次の日持ってきてくれたりするんですよ! 生徒にしたくないメンバーは佐久間大介くん、深澤辰哉くん、向井康二くんのいわゆるドラマ班ですかね。彼らは単純に先生の言うことを聞かないんじゃないかと思います(笑)。すごいやんちゃで普段から授業を聞かないで、授業中に他の人にちょっかいを出しそうで騒がしそうなので(笑)。先生の手に負えないというわけではなくて、ちょっと面倒くさそうなので、自分が先生なら嫌だなと思います(笑)」

「このドラマの主題歌を決めるにあたって、メンバー全員と打ち合わせをして、たくさんのデモを聴く中でメンバー9人が全員 “これだ! とピタッとハマって、全く揉めずに決まった楽曲が「We’ll go together」でした。「 We’ll go together」っていわゆるザ・王道の曲でドラマのエンディングに流れているのがすごく想像できる楽曲になっていまして、歌詞もまっすぐな言葉が多くて清涼感があるんですね。なのでドラマにも合っていて、皆さんに愛してもらえる楽曲になっていると思います」

「僕が高校生のときは同じクラスに舘様がいたり指原莉乃さんがいたりする、すごくきらびやかなクラスだったんですけど、僕はクラスの中ではあんまり人気はなかったですね。舘様の方がモテていたと思います(笑)。当時から芸能活動もしていたので、高校の先生たちも学業も大事だけど今やっている芸能活動も花開くように頑張れと応援してくれる先生が多かったです。なので今回先生を演じることは、当時の先生たちもきっと喜んでくれるんじゃないかと思います」

NEW YEAR’S MODEL 松村北斗×上白石萌音『夜明けのすべて』12P
以下特集リードより抜粋

人間の集合意識というものもAIと同様に今急速に進化しつつあって、痛みを伴いながらも、一つ高い次元に達しつつあるのではないか? SDGsの理念の浸透と時を同じくして生まれたキャンセルカルチャーの猛威が吹き荒れ、あらゆる意味で華やぎを欠いた2023年の年末に、希望的すぎるという誹りを受けるのを承知でそう書くのは、『夜明けのすべて』を観たからだ。

『夜明けのすべて』は単にウエルメイドな珠玉のヒューマンドラマというだけではない。大上段に構えて言うと『夜明けのすべて』は競争社会から共創社会への意識の切り替えを観た人に促す、後世の映画研究家が「日本映画の転換点」と位置付ける傑作だ。

そして作品をそこまで引き上げたのは、共にメンタルを病み生きづらさを抱えた二人の主人公を演じる上白石萌音と松村北斗の静かな名演。特に藤沢さんが山添くんの長く伸びた髪をざっくりと切るシーンは、このシーンのために半年間髪を伸ばした松村北斗とその意気に応える上白石萌音の役者としての胆力の強さを堪能できて、シーンとしてはとてもほっこりしてるのに将棋の名人戦のような緊張感も堪能できる。

以下見出しより

(藤沢さんが山添くんの髪を切るシーンについて)
松村「自分の髪の毛がザクって切られるのを実感できたので地毛でやってよかったなと思いました。あれだけ束で切られると、絶対ダメなものが切り落とされたよね?と冷や汗が出るような感覚だったんです。でも、切られた髪を見たらすごくツボに入っちゃって、想定していたよりもずっと大きい笑いが出ました」

上白石「私、松村さんが吹き出した瞬間の第一声が忘れられないです。文字にできない言葉を発していらっしゃって、私はそれに激しく嫉妬しました。 あれが芝居でできるって悔しい って」
(それぞれの役作りに関して)

上白石「私は演じる役のことを世界で一番理解している人になりたいなと思っているので、藤沢さんのバックグラウンドは想像しました。どういうふうに生まれ育って、何が好きなのかなど、好きな人のことを考えるみたいに考えました」

松村「僕は以前は日常的に電車に乗っていた山添くんが電車に乗れなくなったのはどうしてなんだろう?ということを想像しながら、朝起きて歩いて駅まで行って電車のホームまでは行くけど乗らない、ということをしていました」

(クランクアップ日の心境について)
上白石「クランクアップの日はすごく清々しい気持ちになりました。宝物をいただいたなというありがたさを感じました。本当に夜が明けた! みたいな、素敵なクランクアップだったなと思います」
松村「僕、部活をやったことはないですけど、部活が全部終わっちゃうときって、きっとこんな感じかも、と思いました。ずっと練習と練習試合と試合を毎日繰り返している感じだったので、ちょっと青春的な切なさがありました。同時に、晴れ晴れしい気持ちにもなりました。学校を卒業した感覚にも近いような」

岡山天音×松本穂香『笑いのカイブツ』12P
以下見出しより

松本「私はピンク(菅田将暉)とツチヤ(岡山天音)の対決を一番間近で見ていたのですが、ピンクの殴り方がすごかったです。そんな殴り方があるんだ!という殴り方で」
岡山「あんな殴り方は見たことなかったねー。やっぱり菅田くんは引き出しがすごいね。菅田くんが監督に提案していました。“こういう殴り方どうですか?” って一番痛そうな殴り方を(笑)」

エマ・ストーン主演『哀れなるものたち』10P
以下リードより

もしあなたにとって2023年に一番心がアガった洋画がマーゴット・ロビーがプロデューサーと主演を 務した『バービー』だとしたら2024年最初に観るべき洋画はエマ・ストーンのプロデュース・主演の『哀れなるものたち』だろう。
『バービー』の美点は、フェミニズムを作品主義を貫きつつちゃんとエン タメに落とし込んだマーゴット・ロビーを初めとする製作陣の攻めた姿勢にあった。それは世の中の機運的にジェンダーの問題意識を作品に入れといた方がいいんじゃね?というようなマーケティング視点でなぜかアメコミヒーローものの主人公が急に女性になるコマーシャル・フェミニズムとは志が違う。
女性の映画製作者にとってもなかなかエンタメと同期させることが難しいフェミニズムを「女の敵は女」 という視点も入れ込み、男女共に観賞後カタルシスを得られる作りにしたのが新しかったのだ。
そして『哀れなるものたち』。日本でも翻訳版が以前から発売されているスコットランドの作家アラスター・グレイの同名ゴシック小説を大きく改変し、自分の預かり知らぬ所で恐怖の手術をされた主人公のベラの 自己発見の旅という形式を取った映画版の『哀れなるものたち』は『バービー』のゴシック版&女性にとっての性の問題も取り込んだダークファンタジー版の『千と千尋の神隠し』とも言える、『バービー』 以上に攻めたフェミ・エンタメ作品になっている。
自我がまだ確立していない生まれたてのベラが知性を獲得するまでの前半部、エマ・ストーンは“そんなに脱がなくていいのに”というぐらい脱いで、多種多様なベッドシーンを見せている。しかも、それはエロではなくフェミニズムの側からの批評的なシーンでもあるので、途中から“エマ、わかったよ。もう服着て!”と男性目線でも気恥ずかしくなってしまう。 というように特殊な見どころ満載の『哀れなるものたち』をエマ・ストーンのコメント入りで解説します!