別冊spoon. vol.84
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別冊spoon. vol.84

  • 本体価格 ¥907
  • 発売日 2025.09.10
  • コード 62490-74
表紙巻頭特集
長尾謙杜×山田杏奈『恋に至る病』表紙巻頭撮りおろし対談12P
長尾謙杜×山田杏奈『恋に至る病』表紙巻頭撮りおろし対談12P
(以下リードより)
新興住宅地に引っ越して来た内気な性格の高校生・宮嶺望(長尾謙杜)は、近所に住む寄河景(山田杏奈)に引っ越し当日密かに観察される。宮嶺に興味を抱いた景は、同じクラスになったことで距離を縮め、二人は互いの家を行き来するようになり、教室では見せないお互いの“秘密”を共有するようになる。そんなある日、同級生の根津原あきら(醍醐虎汰朗)が近所で遺体となって発見される。さらに、その後も同級生の不審死が相次ぎ、宮嶺は景が事件に関わっているのではないかという疑惑を抱きはじめる。それでも彼女を信じたい宮嶺は景の“秘密”に迫るのだが、それにより二人の関係は果たして恋愛なのか、支配と被支配の関係なのか分からなくなってしまう……。導入部は高校生の初恋ストーリーなのに、中盤以降は純愛に不穏な影が侵食してくる『恋に至る病』。W主演が『俺ではない炎上』で物語を大きく動かす繊細くんを演じた長尾謙杜と、影のあるキャラクターを演じさせたら若手ナンバー1の山田杏奈だけに、本誌的には特に後半の“甘美な不穏”の表現が気に入った。そこでその暗喩として今回は蝶をプロップにしてキュートとタナトスがクロスした本誌版『恋に至る病』ビジュアルを作成してみました!

(以下本文より)
--『恋に至る病』の前に公開される『俺ではない炎上』で長尾さんが演じられた住宅販売会社社員の青江の演技、とても良かったです!
長尾「ありがとうございます」
--青江はいかにも今風な繊細くんの会社員で、『恋に至る病』の宮嶺も繊細な転校生キャラじゃないですか? ご自分もそういう要素があるから共感を持って演じられるのか、自分とは全然違うから楽しんで役になりきっているのか、どちらでしょう?
長尾「繊細な部分もありますよ(笑)。僕は自分だったらこう考えるなと思いつつ、役との距離を埋めていくようにしています。宮嶺はなんとか景を信じたいと葛藤するじゃないですか? そうやって、自分が信じた人は最後まで信じたいと思っているところは共感できる部分だなと思います」

--『恋に至る病』はインフルエンサーに影響を受けることの是非を描く作品でもあると思いますが、お二人は誰かに強く影響されて、いわゆるワナビーみたいに“この人みたいになりたい”と思った経験はありますか?
長尾「僕はないですね。例えばサッカーを見たらサッカーゲームをしようと思うことはあるんですけど、この人みたいになりたい、とは思わないんです。もちろん、その人の考え方を理解したいので、その人のような考え方に自分がなりたいのではなく、その人の考え方も自分の中の一つにしようと思うんです」
山田「私も特定の人になりたいという、盲信的なまでの憧れみたいなのをあんまり持ったことがないかもしれないです」

(もしお二人の3回目の共演があったらどんな間柄の役がいいかという質問に)
山田「今回は3年ぶりぐらいにご一緒して、高校生アゲインという感じだったので、次ご一緒するなら社会人になっていたらいいなと思います。そろそろ教室が居酒屋になってもいいように思います(笑)」
長尾「幼馴染もやって、転校生もやったので、二人ともそろそろ大人になるべきですよね(笑)。いろいろな役をご一緒したいなぁと思いますけど意外と姉弟とかいいんじゃないかな? 僕、兄弟がいないので」
--あとは同じ会社に勤めているとか? 上司? 部下?
長尾「同期で! あくまでも同期でお願いします(笑)」

藤原丈一郎「すべての恋が終わるとしても」撮りおろしインタビュー12ページ
(以下リードより)
主演ではないのに藤原丈一郎が西颯役としての出演が発表されるとたちまちSNS上で大きくバズったのが10月12日スタートのドラマ「すべての恋が終わるとしても」(ABCテレビ・テレビ朝日系)。同作は旧Twitterの字数制限140字に合わせた超短編恋愛小説のドラマ化作品なので、ドラマの世界観やキャラクター設定はオリジナル。そこで西颯は、神尾楓珠が演じる真央の高校の同級生で、真央の妹の莉津(本田多望結)に思いを寄せられる幼馴染として設定されている。ドラマ版「すべての恋が終わるとしても」は以上の3人を含めた8人の男女の出会いと別れが物語内で、時にクロスする形で進行するので、主演でなくともそれぞれのキャラのメイン回があるのがポイント。そこで本誌は颯×莉津に焦点を当てた話題を軸に、藤原丈一郎に俳優活動について、そしてなにわ男子の今後のビジョンについて話を訊いた。

(以下本文より)
--この夏から秋にかけてドラマ、映画でずっとなにわ男子のメンバーの出演が続いてますね。
「メンバーの誰かが必ずそのクールのドラマに出ている、映画館に行けばメンバーの誰かが出ている映画が上映されている。というのはやっぱり嬉しいことですね。「能面検事」の第1話放送の時、ちょうどなにわ男子の仕事で、楽屋にテレビもあったんで、メンバーみんなで一緒に見ました(笑)。まさか流星が関西弁で喋る役とは知らなかったので、新鮮でした。流星の違う一面も見れたし、楽しかったです」

--友達と恋人の境界線など、境界線が颯と莉津のキーワードとして出てきますが、藤原さんご自身は「ここが人生の境界線だったな」と思うようなエピソードはありますか?
「僕自身もそこは颯と似てる部分があって、境界線がなんなのかをあんまりわかってないといか……。人生って、一つの選択を選ぶことによってもう一つの選択を選ばないということの連続で、人生には常に選択があるなということをこの作品をやってつくづく思ったんです。誰かを好きになったとしても告白するか、言わんかったらどうなるのか。その時の選択次第でその先の世界が変わる。なので、颯がどんな選択をして彼の恋の結末にどう繋がって行ったのかも、観ていただく方それぞれで答え合わせをしていただければと思います」

「グループ活動に関しても、後悔しないことが一番なのかなと思います。どんな出来事があっても、いかにすべてをプラスに変えられるかがアイドルの一番の大事なところだと思うので。失敗を恐れずにみんなで横一列で進むということを一番にして考えています。夢物語を語り合いながらやってるのが、メンバーがいつも一緒にまっすぐ進める秘訣なのかなと思います」

黒崎煌代 × 木竜麻生『見はらし世代』撮りおろし対談12P
(以下リードより)
今年5月、第78回カンヌ国際映画祭の監督週間に日本人史上最年少、26歳で選出されたのが団塚唯我。オリジナル脚本・初長編作品でその快挙を成し遂げたのが本作『見はらし世代』で、Spoon.本誌では団塚監督以前の同映画祭での 最年少選出監督とその出品作品として山中瑶子監督の『ナミビアの砂漠』を紹介したので 、当然 注目して『見はらし世代』を観たのだが、これは『ナミビアの砂漠』を気に入った人なら絶対ツボな今の時代の画角とテンポ感を持った秀作だ。 東京・渋谷で胡蝶蘭の運転手として働く青年、蓮(黒崎煌代)。幼い頃に母・由美子(井川遥)を亡くした彼は、そのことを契機 にランドスケープデザイナーの父・初(遠藤憲一)とすっかり疎遠になっていた。ある日、配達中に父に再会した蓮は、姉・恵 美(木竜麻生)にもそのことを話すが、恵美は我関せずといっ た様子で黙々と自分の結婚の準備を進めている。そんな家 族の状態の中で、蓮は家族の距離を測り直そうとする──。 筆者は長年渋谷で仕事をしているので、その再開発の当事 者なのでよくわかる。ブルーシートハウスが軒を並べていた 宮下公園がMIYASHITA PARKに名前を変え工事を契機 に路上生活者をソフトに排除し、コンビニはトイレの利用禁 止がデフォルトになった渋谷は、街に課金しないものにとに かくシビアになった。『見はらし世代』にも出てくるが、今の渋谷区のベンチはあえて寝にくくしてあって「昨日、公園で寝ちゃってさ」という笑い話を最初から許さない。それは都市 のアップデートとして当然のことだが、傷ついた人にはその アプデが時に傷口に塗る塩にもなる。『見はらし世代』はタイトルは俯瞰的だが、ミクロ視点で都市のリアルに迫る、極め て今日的な映画だ。最新の映画的センスに触れたい方はぜ ひ以下の姉と弟役二人の対談をナビに劇場へ!
オダギリジョー×麻生久美子『THE オリバーな犬、(Gosh!!) このヤロウ MOVIE』撮りおろし対談12P
(以下本文より)
オダギリ「実は、キャラクターの名前を決めるのが面倒と言うか、そこにはこだわりがないんですよ。『オリバーな犬』のプロット(設定や構成など)を作る時に、協力してくれていたスタッフが取り急ぎ付けてくれた名前をそのまま使っているんです(笑)。池松壮亮くんが演じる「青葉一平」も、自分が演じる警察犬の「オリバー」も彼が付けてくれたんです」

(本作の深津絵里の役名・羽衣弥生は)
麻生「深津さんのイメージで選びました。そうしたら、とあるシーンの衣装が本当に羽衣っぽかったんです!」

『ぼくらの七日間戦争 2025』ゲネプロレポート4P
(以下本文より)
『ぼくらの七日間戦争 2025』おすすめ鑑賞法その1
べンチに下がった4番バッターの所作を密かに愉しむように“ターン待ち”の田中樹を見る。

多数の演者にそれぞれのターンがあるので、田中樹は舞台上で待ちに入っていることが多い。SixTONESのライブが常時フィールドに出ずっぱりのサッカーだとしたら、『ぼくらの七日間戦争 2025』は自分の打席が来るまではベンチで待機する野球のような形式の舞台なのだ。熱心なプロ野球ファンは試合だけでなく、ベンチでの選手たちの所作や会話まで目を凝らして、彼らのアイドリングタイムも含めて愉しむが、同じような見方をするのが『ぼくらの七日間戦争 2025』ではおすすめ。

『ぼくらの七日間戦争 2025』おすすめ鑑賞法その2
“失われた10代”を役の中でどう召喚しているかを注意深く見守る。

今の田中樹が出演するバラエティやドラマではほぼ口にしない青春ワードに関するセリフがあり、そこで彼が実生活ではついぞ体験しなかった普通のローティーンの青さをどう召喚しているかを注意深く見守るのも一興。